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コロナ禍で心の癒やしを求めて、ペットを飼う人が増えています。一般社団法人ペットフード協会の調べによると、2020年に新たに飼い主になった人は、前年度比で犬14%増(46万2千頭)、猫16%増(48万3千頭)。
また、ぺット保険会社のアニコム損害保険では2020年4~6月の新規契約者数は、前年度比で33%増(5万3456件)の契約があったと発表しています。
しかしながら飼う人が増える一方で、手放す人も増えています。驚くことに、道端に置き去りにする人もいます。いったい何が起こっているのでしょうか。
ペットサロンに愛犬を捨てる飼い主も
昨年8月、千葉県習志野市のショッピングモールに、子猫2匹がキャリーバッグに入れられたまま置き去りにされました。犬や猫などの動物を捨てる行為は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる犯罪です。
とあるペットサロンの従業員さんは、「生後6ヵ月のマルチーズのシャンプーを頼まれたのですが、飼い主さんが迎えに来なくて1週間が経ちます。電話も住所もデタラメで、飼い主さんと連絡がとれません。この子は捨てられたのだと思います」と話します。
最近はトリミングサロンやペットホテルを利用して、そのまま迎えに来ないということもあるそうです。大抵が初めての利用客で、コロナ禍でマスクをしているので、飼い主の顔も認識できないそう。
この他にも、保健所や動物愛護団体に持ち込む人やペットの里親募集サイトで新しい飼い主を探している人も多く見受けられます。もちろん、生活が困窮したためにペットを手放す人もいます。
しかしコロナ禍以降、1歳未満の子犬や子猫、ウサギ、ハムスターなどの里親募集も増えています。募集をしていた生後3ヵ月のアメリカンショートヘアの子猫は「コロナ禍で寂しくてペットショップで猫を買ったのですが、思ったよりも世話が大変で、私には猫は向いてないので」との理由が書かれていました。
また、生後2ヵ月のハムスターは「夜中に玩具で遊んでうるさい」との理由で、飼って4日目で募集されていました。このように安易な理由で、短期間で手放すことを決めた飼い主が、あちらこちらにあふれているのが現状です。
お金と保険の相談サービス「ほけんROOM」を運営する株式会社Wizleapは、「2020年4月以降にペットを飼い始めた人のペットに関する意識調査」(回答:121名)を発表しました。
回答者に「ぺットをどこから迎えたのか」を尋ねたところ、ペットショップが41%、知人から17%、譲渡会(動物愛護団体等)から17%、自分で保護した12%、ブリーダーから10%、保健所2%、その他1%という結果に。
動物愛護の精神が広がり、保護犬や保護猫の認知度がアップしているにもかかわらず、譲渡会や保健所からの引き取りは少なく、ペットショップから迎えたという人が圧倒的に多いことがわかります。それはなぜでしょうか。
譲渡会や保健所、また健全なブリーダーは、譲渡に一定の条件を設け、「生涯にわたって責任をもって飼ってくれる人かどうか」「犬や猫を幸せにしてくれる人かどうか」を見極めます。飼い主になりたくても条件が満たされなければ、断られることもあります。つまり、「飼うためのハードルが高い」のです。
一方のペットショップは、お金を出せば誰もがペットを手に入れられる仕組みです。最近はローンも組むこともできますし、たとえ飼育環境が整っていなくても、飼うための知識がなくても、それを止める人は誰もいません。当然ペットショップを利用した飼い主すべてがそうとは言えませんが、生き物を飼う責任を考えず、安易に飼い始める人も一定数います。
6人に1人がペットを飼って「後悔した」ことも
意識調査では、さらに「ペットを飼う前に調べたこと」を尋ねました。「適切なフード、またその量」が90票、「必要な飼育スペース」71票、「なりやすい病気」70票という結果でした。最低限必要な情報は調べているものの、「必要な運動量」が36票、「生涯かかる飼育費用」が27票、「アレルギー検査」18票、「緊急時の預け先」16票で、これらは調べないという傾向にあることがわかりました。
また、「ペットを飼ってから知識不足だと感じたことがあるか?」と尋ねると56%の人が「はい」「どちらかというとはい」と回答しました。
ペットを飼う人の多くが、まずは動物の可愛いところなどメリットばかりに注目します。「飼ってしまえば何とかなるだろう」と、事前に必要な情報を調べることもなく、安易に飼い始める人もいます。
しかし、現実はいいことばかりではありません。飼い始めはむしろ大変なこと、予想外のことも多く、後悔する人もいます。意識調査でも、「ペットを飼って後悔したことはありますか?」の質問に対して、「はい」「少しある」と回答した人が15%もいました。
たとえば、子犬であれば初日から夜鳴きに悩まされることもあります。慣れない新環境が不安で、飼い主の姿が見えなくなるだけで大きな声で鳴き始めることもあります。飼い主は寝ている暇もありません。
また、トイレの場所を覚えるまでは、あちらこちらで粗相をします。柱やテーブルの脚などを噛んで傷だらけにしたり、壁に穴を開けることだってあります。
子猫の場合も、犬同様に環境の変化には敏感です。カーテンに登ってボロボロにしたり、障子や襖を破ることもあります。また、高いところに登って、物を落とすこともあるので、こちらもまた目を離していられません。
飼い始めにはこうした予想外のトラブルがつきものです。もちろん個体差もありますが、これから飼い主になる人は、子犬や子猫はそういうものだという知識と覚悟を持つ必要があります。成犬や成猫でも同様に考えておく必要はあるでしょう。
また、食事や飼育用品、医療、ペット保険などお金もかかります(生涯必要経費は100万円を超えるとも言われています)。思うように外出も旅行も出来なくなります。犬や猫などのペットは生きものですから、飼い主の思い通りにはいきません。ペットを飼うということは、そういう部分も丸ごと受け入れて、家族の一員として共に生きていくということなのです。
まず飼う前に「飼うこと」について考え、学ぶ
前述のとおり、安易に犬や猫などのペットを譲る側にも問題はあります。その「ハードルの低さ」は、今後の課題として取り組む必要があるでしょう。
しかしながら、飼う側も事前に命を預かることについて考えておけば、手放す・捨てるなどの問題は改善していけるのではないでしょうか。それが1つのハードルとなり、自分には「飼える」「飼えない」の判断材料になることでしょう。また、それはペットにつらい思いをさせない、飼い主自身が後悔しないための行為でもあります。
コロナで気持ちが荒む、寂しいからと言って、安易に飼い始めることはおすすめしません。短絡的な判断で飼い始めると、問題も起こりやすく、もしそれが自分の手に余るものであれば、前述したように手放す・捨てるという行為にもつながりかねません。
ペットを捨てるような悲劇は、犯罪であり、不幸しか生みません。もしこれからペットを飼おうと考える人は、ぜひ一度、その重みについて思いを巡らせていただけると幸いです。
東洋経済オンラインより引用
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